青と藍染の歴史・ジャパンブルー

①藍染の起源(東北薬科大学研究誌 2015年)
藍染は、世界中で最も古くから用いられてきた植物染料で、現存する最古のものは、古代エジプトの紀元前 2000年頃のミイラに巻かれた麻布の藍染です。その後、藍染は、インド・中国、そして日本へと広がった、と考え られています。日本においては、3世紀末に残された魏志倭人伝に、西暦243年に、倭国から魏王に、赤や青に染 めた絹織物が献上されたという記述があることから、記録に残る日本最古の染料であったと考えられます。
日本において、記録に残る藍染として用いられた植物は本邦に自生する数種の植物であった、と推測されていま す。現在の藍染に用いられる植物は、タデ科の蓼藍で、本来日本には自生しておらず、「出雲風土記」(733年) に、藍が栽培植物であると記されていることから、遣唐使により渡来したと、考えられてます。
②天然の青
自然界から青を創れるものは、藍・露草・ラピスラズリ(鉱石)の3種類のみ。中でも、藍は、古来より身近な染色と して用いられてきた貴重な「青の染料」です。
③世界の藍染
世界中に、藍(インディゴ)を含有する植物はありますが、その藍染は、殆どが沈殿藍または泥藍と呼ばれるもの で、水の中に藍の色素を溶け出させ、沈殿した物を染料として使う。この藍染は、安価だが、色つやがなく、色落ち しやすい。
日本の藍は、一年草の蓼科の藍を栽培後、茎と葉を選別して葉のみを寝床(すくもをつくる建物)で発酵させてつ くります。このすくもを原料にして染色する藍染が、日本の藍染です。日本の藍染は、色つやがあり、色落ちしにく く、ジャパンブルーといわれております。

藍染の効能

藍染と藍の成分(蓼藍)には、人体にいろんな効能があると、古来伝承されてきたが、その研究開発はまだ緒についたばかり。

全国の大学における研究論文からのご説明愛媛大学大学院農学研究科教授 菅原卓也

(A) 東北医科薬科大学(宮城県仙台市)佐々木健郎教授(2015年)

「蓼藍の成分と機能性について」
1 藍は、世界中で最も古くから用いられてきた植物染料であり、
現存する最古のものは、古代エジプトの紀元前2000年頃のミイラに巻かれた
藍染の麻布である。
2 藍は、日本最古の染料の一つと考えられるが、蓼藍は、本来日本に自生しておらず、
遣唐使により渡来したと考えるのが妥当。
3 日本の鎌倉時代以降、藍染が普及してきた理由には、染料としての
美的要素の他に、その多彩な機能性に起因するところが大きい。
古来、藍で染めた肌着は、冷え性・肌荒れ・汗もなどに効果があると、伝承されてきた。
抗菌・消臭効果、防虫効果が、経験的に伝承されてきた。
4 蓼藍の有用成分と機能性成分に関する研究は、まだ緒についたばかりだが、
アトピー性皮膚炎治療薬・抗癌薬・抗高脂血症薬・抗菌抗真菌薬・抗炎症薬等への
開発が大いに期待される。

(B) 四国大学(徳島県徳島市)近藤真紀教授(2017年)

「食用藍の機能性成分に関する研究」
───── 藍葉添加食を6週間投与したラットでの結果

  • 1 体重増加抑制
  • 2 内臓脂肪の減少効果
  • 3 血清脂質改善効果
  • 4 腹腔内脂肪の減少

以上のような生活習慣病の予防および重症化の軽減につながる。

(C) 徳島大学(徳島県徳島市)河村保彦教授、西内優騎講師(2011年)

「阿波藍に含有される有用微量成分の有効利用に関する研究」
マイクロ波反応活性化法により、阿波藍に含まれ、発ガン抑制活性,抗ピロリ菌活性、アトピー等炎症抑制作
用等で注目されているトリプタンスリン及びフラボン成分を、短時間かつ良好な収率で得られることを
見出した。

(D) 島根大学(島根県松江市)横田一成教授(2015年)

「山陰地域の生物資源に由来するポリフェノール類の分析と機能性解析」
1 蓼藍は、古代より民間伝承薬として利用されてきており、解毒、解熱、止血等の薬用効果が知られている。
蓼藍の葉は、日本では、地方により食用にも用いられている。
2 近年の研究では、抗がん,抗炎症、抗酸化、抗アレルギー、抗菌性を示す機能性物質の解析研究が試みら
れている。
3 今回の研究成果として、蓼藍は、一般野菜よりも15倍以上のポリフェノールを含んでおり、
非常に強い抗酸化性が確認された。
4 今後、企業との共同研究により、蓼藍の健康機能性成分を利用した新規の医薬品や機能性食品の開発研究に取り組む。

(E) 弘前大学(青森県弘前市)北原晴男教授(2012年)

「スキンケア用途に適した新規タデ藍エキス」
───── 弘前大学とサンスター株式会社が共同開発

  • 1 マラセチア属菌に対する高い抗真菌性のある「トリンプタンスリン」を多く含み、
    スキンケア製品に用いることができるタデ藍エキスを得るため、不要な成分を
    取り除き、純度を高める独自の抽出方法を開発した。
  • 2 その新規タデ藍エキスがマラセチア真菌に対して高い抗真菌活性を示すことを
    確認した。
  • 3 今回、スキンケアに応用できる抽出エキスは、この研究を基にサンスター社と
    共同で開発したもので、「藍は肌によい」という民間伝承を
    現代に生かす視点に基づいた研究開発の成果である。